田舎のスーパーマーケット
豊島ケイトウ
いつの日か漂着しなければならない比喩を
前もって鑑賞されていない博物館が生み出された由は
ある地層に転換して僕達の無知だと言える
いらないいらないそんなゴミより
確かに愛せる媒体を確保してくれ今すぐ
僕は君をいだきたくなんかなくて
もっと罵り合う卵を孵化させてしまおうと企てる
憐れなしかし聡明なカモメ紳士の気は確かだと思うが
とはいえ一体誰がなんの標榜でこの世界をセックス的堕落へ
導いているのかそれは紛れもない君だろ
君の醜くてよだれまみれのそれから赤黒い嗚咽が聞こえる
僕達は眼を背けることをしない代わりに自己韜晦を繰り返し
続けていくのであるどかどかと土足で上がり込む海綿の集団を
懸命に振り払いながらもうどうしようもない居場所まで
来てしまっている子供に返ろうこれからずっと
ずっと
黎明の手触りをドレープでひしめくカーテンから搾取する恩恵に
与るのは君でもキミでも勿論僕でもない誰かだ
パイロットに選出されたからって何になる人類が
こんなにも喘いでいるというのに神々の視線を一身に浴びつつ
ある乞食は呟くだろう五年後あるいは五十年後に
明るい未来を喰らう楽しみさえ失った客室係が泣く泣く
見る情景を知っているか
それは田舎のスーパーマーケットに恐ろしくよく似ている