ゾウの話
たもつ

逆立ちをしているゾウの足に
流れ星が刺さった
昼間の明るさで
誰にも見えなかった
ゾウは少し足が痛い気がしたけれど
逆立ちをやめてしまうと
子どもたちががっかりするので
我慢してその姿勢を崩さなかった

やがて夕方となり
子どもたちは家に帰って行った
ゾウは逆立ちをやめて
長い鼻で足に刺さった流れ星を取った
徐々に闇が濃くなるにつれ
流れ星は本来の輝きをとり戻した

その正体が何であるのか
ゾウにはわからなかったけれど
子どもたちにも見せたいと思った
でも彼らは食事や宿題をする
自分たちの生活の途中であり
そしてゾウは
彼らの親ではなかたった

流れ星は燃え尽きて
ただの石ころになった
ゾウがくしゃみをすると
どこかにとばされて
他の小さなものと
区別がつかなくなった





自由詩 ゾウの話 Copyright たもつ 2010-11-10 21:45:59
notebook Home