クジラの話
たもつ



クジラの背中に
独裁者の豪邸が建った
どこよりも高く
民衆を見下ろせた
一匹のカマキリが飛んできて
両手の鎌でそれを壊した
拍手喝采のなか
クジラは大きな口を開けて
悠々とカマキリを飲み込んだ
そして水のない海で
クジラは乾いていった



自由詩 クジラの話 Copyright たもつ 2010-11-08 19:09:22
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