割り箸の飛び方
合耕

直線的なカーブばかりが続く汚い流れを
泳いでいた僕がいつか 空を見れば
それだけでもう
鏡の前に立って
脱がない服の際をなぞっているのだから

小麦をこぼしながら走り去るトラクターに
かかとを掴まれ 急に緩やかになった時間を
笑いたい気持ちのままで
足を踏み出しても 
宙を舞う麦の粒が 同じ動きを繰り返すだけ

ばたばたと暴れる割り箸を
鳥かごから出して
その腰を捉えにくく感じているうちに
また空に見入る
フィルム色の光が 手の甲を痛めすぎて
飛んで行く先 描かれる黒い線が目の中に
揺れたまま残っても いつでも想像した
お腹の上にグラスを乗せて
そこへ注いだら 
たとえ生き返っても もう二度と 
驚かせないで
古いノートの手ざわりが
ぼやけるほどに高い 天井のすれすれで


自由詩 割り箸の飛び方 Copyright 合耕 2004-10-23 22:44:37
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