2%仮説
yumekyo

人間は 誕生日から 次の誕生日までの間に
普通に生きてさえいれば
少なくとも 2%ぐらい能力的に成長するらしい

毎日で割ってみれば 僅かな数値しか出ないけど
日々 起きるたびに あなたの表皮は新しいものに入れ替わっていて
ほんの少しだけ 苛立ちに微笑を返すのがうまくなり
ほんの少しだけ 人の話を愉しんで聞けるようになり
ほんの少しだけ 要領よく仕事をこなすことができるようになり
そして ほんの少しだけ 大切な想いは深くなる

人間は 誕生日から 次の誕生日までの間に
普通に生きてさえいれば
少なくとも 2%ぐらい能力的に成長するらしい
努力をしない人間は この世には存在しないんだ
日々生きていることは 一歩一歩 高みに上っていることだ

毎日 誰かの誕生日が来る
今日も まだ見ぬ誰かの 誕生日のお祝いがある
あなたは 去年の同じ日 100人の人の おおきに を生んだ
あなたは 今は 少なくとも102人の おおきに を生むことが出来るだろう
あなたの笑顔は より滋味深くなっているはずだ
だから 誕生日に深い反省をするのはやめて
少なくとも102人の おおきに を生むことが出来るようになった
あなた自身を まずは祝福しよう

もちろん あなたの頑張り次第で 
2%という数字は ロケットのように加速度的に上昇していく
あなたが 去年の同じ日 100人の人の おおきに を生んだとして
あなたが 今は 200人の おおきに を生むことができるのであれば
そのときは 思い切り ガッツポーズしよう

本当は みんなが 102人の おおきに を生むことが出来るように成長したのならば
経済的には 2%の付加価値がつくことだから
製品は2%の価格が上乗せされるはずだ
それにより 会社は2%増しの収益を上げ 
懐の中身は2%だけ暖かくなり
その国は 少なくとも2%は豊かになるはずだ
もし あらゆる数式を駆使しても まったく豊かになっていなかったり
逆に 豊かさの数値が低下していたり というのであれば
毎年 2%の人間が 強者に足蹴にされ どこかに消えていることになる
50人のクラスで 毎年ひとりがいなくなってしまうことに
あなたが耐えられる 冷笑で交わせるというなら何も言わないが
少なくとも僕には 身が切られるほどに辛い事だから
阻止するために 精一杯 手を伸ばす

人間は 誕生日から 次の誕生日までの間に
普通に生きてさえいれば
少なくとも 2%ぐらい能力的に成長するらしい
僕が伸ばす手が 少なくとも 2%ずつ伸びていって
立ち去ろうとするあなたの手をつかむことができれば
それが僕の 本望だ


自由詩 2%仮説 Copyright yumekyo 2010-10-31 14:33:55
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