発語の根
阿ト理恵
たまがつくられるという長い手紙を書く発語の根は脳睡してひるがえってひるがえし走ること限界などどうでもよく走りながらよく視えるできないことできたことは視えず走るまばらなゼロ覗くことからむからまれからみたい孤独なことばは飼われることを嫌うあなたの死を待って女根として闘うらしく今あるのはかたくなにさけて問い心音はわずらいねじこんだ激しさはふるふるえ走る私は宙吊り目的地などなく計らずとも手紙は正しく配達されることはなく灼けるあるいは妬ける空語たぶん湿度が関係しているらしく私あるいはあなたは夕方空がいんいん鳴って別れる計画の断片ぺかぺかぺか笑い才月にあなたのたりないものを私はもっているらしく針のように泣くあなたの濡れた髪私拭いてあげたらあなた
ばか
私の
きらい
あなた
だしぬけに
じゆうな
結合
えも癒えね
さやにさやげども
はげしいの
容赦しない
あまさず
いましがた
あてどなく
音綴
あいついで
音綴
あらしめる
禁令
おもねておもねて
道はずれ
しかじかかずかず
濾過
それにしても
推算
すなわち
2Hより2Bの根はやわらかく
あなたのなかの私は今どこをどのように走っているのですか私のなかのあなたは走って
(1997・7現代詩手帖/1998・10阿ト理恵大全集掲載)