省みて
朧月

あの日母が
私を見つめていた瞳が
なにを想っていたかが
ふいに想像できた

歪んだ方向しか
見ようとしなかったあの頃の私には
真意なんてどうでもよかった

気をつけていきや
そう言われたのに
キーをつけないと
車ははしらんと答えた

ばかなんだけど
そんなことを得意げに
言わなければ
発進できなかったごめん

母も母以外の大人も
私の敵ではないと
思った今日の日
私は教えるってことをした

だれかに伝える
作業はまず自分の
深い場所へかえってゆく
ということで

あの頃の私の
姿が思い浮かんで
母の瞳に答えたくなった
ありがとう いってきますと



自由詩 省みて Copyright 朧月 2010-10-29 21:34:32
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