自然考
吉原 麻

ますます吐く息を白くして近づく そして
炬燵の中の猫がのびをする
香りはすべて あたしと共に在る
ただそれだけなのに 中央分離帯の樹が気になる
排気ガスくさい こたつはねこくさい

ブルガリの財布をうしろぽっけからはみ出させている同い年のアキラくんの肩を
ぽぽっと叩いたら そこに空気が生まれてしまう しまう
まあるくなった空気をだっこして
また今度ね
と背を向けるのだけれど 名残惜しい気もする

高さがないわりに歩くとインテリのような音がする華奢な靴をはいて
かつん    かつん         かつん
どうあたし 歩くと音がするの
と意気揚揚と歩くけれど 150センチの身長では
何も見下ろせないのです


自由詩 自然考 Copyright 吉原 麻 2004-10-23 00:04:53
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