蝉時雨
やぶさめ



渇望しているのだ


体の中の空っぽを満たしたくて

満たされたくて、空白をうめたくて


それで鳴いているのだ

慟哭しているのだ



そして私はそんな鳴き声に閉じこめられているのだ

耳を塞いでいるのだ

目をぎゅっとつぶっているのだ

しゃがみこんでいるのだ


ああ、そうか

哭いているのは、私なのに




自由詩 蝉時雨 Copyright やぶさめ 2010-10-27 01:46:15
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