Calling ❤ Juliet
salco

やがて晩秋というのに夜中のしじま
身を寄せ合う恋人達の姿もない
灰色のロミオは塀の上
ソネットをひとくさり
オウ、ムォウ、マオ、アオー
猫が、まるで狼族の遠吠えのよう


出ておいでよジュリエット
今宵おいらと恋しよう
かわいい顔を見せておくれ
熱もつ胸に応えておくれ

冬が来るよ
星も凍るその前に
おいらと一緒に一発いかが?
さほどのお時間頂くまいよ

どうかお前のまあるいほっぺ
おいらの夢に寄せておくれ
切ない心が張り裂けそうさ

きらきら光るつぶらのお目目
おいらの愛を映しておくれ
はやる金玉はち切れそうだ

ミックス雑種お嬢はふかふか寝床
まあるくなって熟睡中
しかもこのかわい子ちゃん、
肉感的なボディーが示す通り
少年期にリビドー玉を抜かれたオスであり
ヒト科と違ってロザリンドにもティボルトにも
興味なし
カストラートの鈴のお声でねだるのは
お皿で弾むキャットフードと
乳母の操るねこじゃらし
たらちねの乳首を夢見にすわぶる
箱入り育ち

月の滴を背中に浴びて
今宵もさまよう若者ロミオ
空き地も潰れた浮き世ざま
尻軽娘はなかなかおらず
巡る季節に思いを遂げる刹那も来ない
蒼くそそけた毛衣の儚さ
股間に詰まった未来の重さ
されば思いのたけの置きみやげ
サッシに小便噴射する


自由詩 Calling ❤ Juliet Copyright salco 2010-10-26 20:26:08
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