夕餉の後
服部 剛
食卓の
笊
(
ざる
)
の上に置かれた
柔らかい柿達は
それぞれに傾きながら
ひそひそと、会話をしている
( 厨房では蛇口から
ぽとん、ぽとん、と水が鳴る )
初老の母ちゃんは友達と、夜の散歩にいっている。
古希を迎えた親父は市内の図書館で、働いている。
新妻は仕事を終えた車で、こちらに向かっている。
誰もいない実家のしーんとした秋の夜
食卓の、在りし日の祖母の
空席に 無 が座っている
自由詩
夕餉の後
Copyright
服部 剛
2010-10-25 21:27:39
縦