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緋月 衣瑠香

快晴とは程遠い 灰色の空
本日 あなたはついに最愛の人の隣で永遠の眠りにつく

見守りにいけなくてごめんなさい
あなたの娘とその夫が
私の分も あなたが永遠に眠りにつく姿を見ています

あなたは知っていますか
あなたの娘はあなたが旅だった夜にしか私の前で泣かなかったのです
あなたの安らかに眠る顔にかけた言葉は
「待っててねって言ったのに」

病室での約束
私と兄を最期に会わせにくるから待っている
結局 私のせいで約束が守れなかったのです
ごめんなさい
最後の最後で祖母不幸です

人は残酷だと思いました
体よりやや大きい木の箱にあなたを入れ
久しくしていない化粧を綺麗にし
たくさんの人にその姿を見られ
たくさんの花が捧げられたかと思いきや
釘で二度と出てこれないように皆で箱の蓋に釘を打ち
長い時間をかけ 体を焼き
小さな青い壷に大きくて入らないあなたの骨を折ってまでして収める

騒がしいのが好きじゃないあなた
やっと今日から静かに眠れるのです
夢を捨て 姉妹のために家を継ぎ
ただ皆のために生きてきたあなた
もう 休んでいいのです
頑張ることはないのです

そちらの世界で最愛の人にはもうお会いになりましたか
あなたの娘は両親を亡くし
大変寂しい思いをしているのに
夫と私と私の兄のために
今も泣かずに生きています
そんなあなたの娘も今年で五十です
そこから見守り続けてあげてください

今日 私がそちらに行けなかったのは
明日から学校の定期考査で
勉強しようと思っていたからなのですが
勉強する時間を割き
こんな言葉を綴っている私は
祖母不幸で親不幸です

しかし あなたの娘の誕生日の次の日に
そう それは秋も終わりに近い日に
祖母孝行で親孝行な知らせが私の元に届くかもしれません
そうしたら お花とお線香と共に
あなたに会いにいきます

その時は
どうか青い空が広がっていますように


自由詩 49 Copyright 緋月 衣瑠香 2010-10-17 14:25:14
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