HB
Akari Chika

自分の事しか見ていないようで
相手の事も
見てるんだよね ちゃんと

きみは高嶺の花だ、なんて
冗談でも
言ってほしくなかったよ

身を削るようにして
生きてきたから

私の
芯は
とんがってばかりで
伝えたい想いも
巧く
伝えられない

時と共に薄くなってしまう言葉も
しっかり
なぞってあげられる
私であれたら
良かったのに

こっち向いて
あっち向いて
あなたの手元から
わざと
離れようとして

大勢の人がいても
代わりなんていない、って
はっきり
言ってもらいたかったよ

もし
何千年も
何万年も
たんぽぽが吠え咲かるこの土手で
同じ未来を
見つめていられたら

付箋をつけた
今この瞬間
どんなに遠く離れても
ふと微笑みながら戻ってこられるように

惹かれ合う
仕組みに
五線譜は
似ている
そこに音符が
足されていくから

私を
愛そうとして
あなたの手は
頑なに
傷ついていった

身を削る想いで
生きてきたから
削れるものなど
もうないんだよ

って、本当はそれは嘘

本当は

身を削る勇気なんてないの

だから
いつまでも自分を
新品よ、って
偉くもないのに自慢する事しか出来ない

できるなら
どこまででも
心の皮を剥いで
私の
芯を
見せたいのに

最初の痛みが怖くて
ためらい続けている

守り抜くことが 悲しいことだと わかっていても

せめて
臆病でも
濃く
濃く
もっと濃く
あなたを記していきたい、と

この身の中で種を膨らませている

綿毛が
飛び立つように
いつか
私も
朝日に照らされて

なめらかな芯を さらけ出せるように


自由詩 HB Copyright Akari Chika 2010-10-17 02:33:27
notebook Home