エコひいき
鵜飼千代子

        埃っぽいよね


             埃っぽいよね


      埃っぽいよね    埃っぽいよね



           埃っぽいよね

              埃っぽいよね




         埃っぽいよね




         あちらこちらから
         乾燥注意報が聞こえてくるので
         玄関先に
         パッと水を打った

         涼を取り戻す時間

         粉塵はしばらく
         低いところで
         砂煙りを揚げていたけれど
         残るのは
         静かな夕暮れと
         目にも映る清しさだけ

         エコひいきの外側は
         閉め出された人間の豊穣な海で
         人肌の優しさが
         ゆるやかに満ちている

        (人を傷つけて、反撥して傷つけられたとしても
         相手のせいで自分が傷つけられたと
         思ってしまうんですって、、、)

        「軒先から毛虫が降りて来ますから
         気をつけて下さいね
         けっこういるんですよ」

         爽やかな笑顔と共に訪れた 
         一杯のコーヒーに
         降ろした肩の重みを感じながら
         富士山の見える
         夕焼けの空を見ていた

         刻々と変わっていく空の色を
         わたしの好きな時間を
         樹木と風の声を聞きながら
         ずっと見つめていた


         メールマガジン 月の雫 創刊準備第2号初出    2002.07.03
         改稿 2009.6.10


自由詩 エコひいき Copyright 鵜飼千代子 2010-10-15 05:54:20
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