多色の雨
朧月

けばけばしい色いろを携えて
雨が降ってきた
潤んだ瞳に入り込んで
世界は泡になる

足元に忍び寄る水面に
闇を感じるのはなぜ
濡れた靴先にさえ
嫌悪するのはなぜ

車が通って水しぶきが跳ねて
少女は小さく震え
自転車は傘のせいで前も
見えずだれかにぶつかる

世界が交わる

けばけばしい色いろは雨
嫌悪しているのは心
濡れるのがいやなのはなぜ
この身は縮みそう

車の中では無音で
ワイパーが見せているのは
雨とこの世の境目です
私はどちらにいるのですか



自由詩 多色の雨 Copyright 朧月 2010-10-09 14:22:56
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