記憶の海
小川 葉
掌に海がある
水平線のむこうから
海賊船がやってくる
わたしから大切な記憶を盗み
それで得た金で
毎晩酒を飲み騒いでるのだ
わたしは海に飛びこみたいけれど
この体から出ることができない
やがて海賊船は
水平線のむこうへ消えていく
しかたなくわたしは思い出す
盗まれてしまった記憶を
もしかしたら
それはこの体にいなかった時の
記憶かもしれない
自由詩
記憶の海
Copyright
小川 葉
2010-10-09 03:36:45
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