dragon phantom
TAT












モナシノウクの声がして




















強靭な凍てつく風と



たましいを貫く光が来て



























そのようにして





















骨身の青い竜は


いつも通り過ぎていった






















いつもと同じく私たちに


















今回のアタックもはずれだよ























君達が制覇した頂から何か見えるか?






















何も見えないだろう?























ただまぁそれでもあの地平線を





















君たちは目指すしかないもんな

























と、そう言って笑った





















美しく














それが故に禍々しき翼で
















そう伝えているように見えた

























私は挫けそうになって





















思わず彼女の乳房を鷲づかんで














自分を奮い立たせて叫びながら叫びながら




















犬か動物か悪魔のように何度も何度も種を蒔いた


















死のおよそ数ミリ手前まで










自分のなかから命を吐き出しつづけた


























彼女は



















※私は彼女を何と呼べば良いのか知らない
彼女は私を生んだ母の妹であり
かつ私の七人の子供の母であり
かつ私の二番目の息子の妻でもある






















彼女は削り出しのメノウのように滑らかな











笑みで私を天国に誘い




















しかもそれの遥か後、稲妻の平手で
























私をしあわせな眠りから硬い雪の降る現世へと














連れ戻し






















湯と麻薬を呑ませた





















彼女が食えと命令した干し肉を



















私は私のために

















彼女のために



















明日のために























ようやっと口に入れたが




















塩を振ってそれに味を付ける事は




















あくまでも拒んだ
























わたしはその肉が



















この間死んだ














わたしの息子の息子の肉である事を

























知っていたから
























私は上顎と下顎に全身全霊を込めて立ち上がろうとし

















果たして立ち上がり


























真っ白な処女雪を一歩深々と蹂躙した
























先発隊に



















追いつくために





























自由詩 dragon phantom Copyright TAT 2010-10-03 00:20:43
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