エレベタ星人 (想起させるものに、忠実に)
乾 加津也

ユキサキボタンヲオシテクダサイだけ覚えて
宇宙船のように忽然とやってくるそれは
なにくわぬかおをしてヒトのたぐいをのみこむと
にどと開くものかコ・ウ・テ・ツまがいに
ヘアーライン仕上げのシルバーステンレス
代わりにケーワイ透間をわんさか吐きだしては
あたまでっかちのままアスパラガスにキューン
つまんで食べようとすると
いざ鎌倉、キンと鼻をつく草いきれを撒きちらし
補助金減税の個人情報が零れだす始末
選択肢をカノーセーとコンドーさせ
ならべた腫瘤、トップに数字
魏志倭人伝のわけあり顔して連灯させても
誠に有難う御座いましたのegoがいっぺんにヘーイ!指をたてるので
ひかりの速度をこえたあたり
キンコン。音をたてて、おい、止まったぞ
「尻のすわりがなんとなく悪いんじゃないか」物語の上映がはじまり
こんこんゆきは降りつもり
こごえるまっちうりの少女に咽びながらおえんおえんのオーディエンスになる
あらやだもうこんな時間
頭痛がするのです、助けて
子供が待っているんだ、帰してくれ
バイト遅刻すんだろが
はあ?ワタシコトバワカリマセン
ワカルのイミがイルカ、ミツカリマセン
そんな問答をくりかえせば、だれだってみんな
肝臓太らせたガチョウの強制給餌コーカで
おなじ色の屁をはく生きものになる

あのぉ、わたしたちって恋仲ですよネ
自己愛よろしく秘かに出獄もくろむ囮捜査的な精神衛生が星人にウケたらしく
「死刑台のダンディズム」として競売にだされた収益金で
さそり座星団の一筆書きにチカチカと電力が供給された

だから階段でドーゾ


自由詩 エレベタ星人 (想起させるものに、忠実に) Copyright 乾 加津也 2010-09-29 15:15:01
notebook Home 戻る  過去 未来