姦婦
月乃助

光りをなくした
名もない星たちが
うつむいては 化石のように
眠っている



ちゃんと笑ってあげたら
隙間に触れることだって できたのに
平穏という残酷な家の灯りに
夜の積み木を重ねるひと
その闇につっと飛び立てば、



変わりなく
輝く星の合い間に
静かに 小さく姿を隠す
眠りつくように/休みをもとめるように



指先に触れる 惑い
そのわずかな感覚であなたを捜す
星の間は、すべてが不確かで
無限のひろがりの 不定があるのだけれど



眠りついた星にしゃがみこみ
つめたくなったひざを抱え
日常という痛みのやわらぐのを待っている
うつろな目に映る
流れ星達が、願い事を持ち去っていきながら



吹き溜まりの星の金砂が、
掌を離れ 落ちていく



あなたのすぐ横に
よりそいながら
星の砂ほどの小さな夢をみる
青い星に並んで帰る日のために



唇からもれるかすれた歌声に耳をすまし
いつか聞いたそれが、あの町のリンゴの木があった家を
思い出させるように



一つ二つ
流星をかぞえては、
その数が、幾つになったら
上手に笑えるようになれますか
闇のひろがりを注視しては、やめることのできない
無辺の「星」空で、
化石となりながら









自由詩 姦婦 Copyright 月乃助 2010-09-28 09:00:49
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