姦婦
月乃助
光りをなくした
名もない星たちが
うつむいては 化石のように
眠っている
ちゃんと笑ってあげたら
隙間に触れることだって できたのに
平穏という残酷な家の灯りに
夜の積み木を重ねるひと
その闇につっと飛び立てば、
変わりなく
輝く星の合い間に
静かに 小さく姿を隠す
眠りつくように/休みをもとめるように
指先に触れる 惑い
そのわずかな感覚であなたを捜す
星の間は、すべてが不確かで
無限のひろがりの 不定があるのだけれど
眠りついた星にしゃがみこみ
つめたくなったひざを抱え
日常という痛みのやわらぐのを待っている
うつろな目に映る
流れ星達が、願い事を持ち去っていきながら
吹き溜まりの星の金砂が、
掌を離れ 落ちていく
あなたのすぐ横に
よりそいながら
星の砂ほどの小さな夢をみる
青い星に並んで帰る日のために
唇からもれるかすれた歌声に耳をすまし
いつか聞いたそれが、あの町のリンゴの木があった家を
思い出させるように
一つ二つ
流星をかぞえては、
その数が、幾つになったら
上手に笑えるようになれますか
闇のひろがりを注視しては、やめることのできない
無辺の「星」空で、
化石となりながら