50メートル走みたいな、速さで
とんぼ

あなたは目を閉じない
じっとわたしを見てる
どんな風にキスをするか、どんな風に目をふせて、喘ぐか
優しさに満ちたまつげを愛に届きそうなくらい伸ばして
ね、
あなたの手のひらの熱もひたいで冷えた汗のつめたくてしょっぱいことも
全部わたしになる
ずるいよ

ふたえのシワの間にあなた、何を隠してるの
そんなに心を込めた光で、世界を照らしたりして

泣いたのははじめて
セックスの途中で
ころころとした涙に自分で驚いてから、ようやく、今幸せであることに気付いた

こんなことを、詩にするのははじめて
まだ始まったばかりの恋で
だけどこれが最上だと、わたし知っている

伝えられないのははじめて
言葉を知ってからわたし、伝えてきたのに、言葉にして詩にして
好きってそれだけじゃ、分からないよね、わたしも分からないもの、こんなの

感動してるんです
感動してるんです

心が震えて、唇が動揺してる
わたしまだ言葉にできてない
詩にもできない
だけど書かないと 今残していないと
きっと息ができなくなる
わたしがあなたに知ったのは、そういう恋です。


自由詩 50メートル走みたいな、速さで Copyright とんぼ 2010-09-28 01:06:33
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