霧の街
Oz

小さな
小さな
雫が
霧となって
街を覆う

光は
雲から
隠れ
街は
薄暗く
重たい

ソファーに横になり
窓から
世界を覗くと
ひどく
心が
静かに

何の音もなく
何の移ろいもない

無音のまま
世界は閉じられ
あるいは
世界の真裏へ

蝶に誘われ
僕は
青や
黄、ピンクといった
鮮やかな花たちの
蜜を集めては
花粉を
受け渡す

花弁が落ち
脂肪が膨らんで
実となり
種をつける
種は
地面に落ちて
芽吹き
また、
花をつける
その世界に既に
僕はいない
僕の息子達が
同じ世界を
でも少し違う世界を
生きるのだ

目を開けると
日は暮れ
外は真っ暗に
カーテンをしめようと
窓に近寄ると
少し欠けた月が見える

寝起きの僕は
再度寝るには
頭が冴えきっている

窓を開け
腰を掛け、
ウイスキーを飲みながら
本を読む

自堕落な幸せは
明日に陰を落とすのだろう
でも、いいさ
生きていく限り
それは毎日行われる訳ではない
今はとりあえず
アルコールで体を温め
文字たちの紬ぐ世界に浸り
月明かりに酔うのさ
眠りつくまで
今を
楽しむのさ


自由詩 霧の街 Copyright Oz 2010-09-27 16:58:23
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