under the rain, under the moon
は やしや も り
デートをした。
中国の女の子で、
体は僕の3分の1くらい。
にこにこしながらくすくす笑う。
出会ってしばらく離れていたけど
思い出したように手紙を書いては
それぞれ送り合っていた。
初めて会った時、
その人は首から単語カードをぶらさげて、
けんめいに僕らの言葉を聞いては
意味のわからない単語を書きとめていた。
あってすぐドキドキしたし。
話していると、どきんとした。
3年ぶりに会った彼女はとても小さく、
やはりくすくす笑っていた。
お互いに好きな建築を見て歩く。
手紙と同じ、平熱の話をしながら。
美術館のうす明りで
横顔を盗み見るけど、
変わらないものを確かめるほど
僕は彼女を知らない。
視線に気づいてほほ笑む笑顔を
直視できずに頷いていた。
兄の彼女が働く喫茶店で話しながら、
彼女が頬に手を当てた時、
彼女のゆびには指輪があった。
彼女は人と住んでると言った。
見降ろした、夜景にふってた雨はやんでいて。
見上げた月は、少し欠けておにあいだった。