無題
豊島ケイトウ

 もともと世界は一連の階段だった
 一段一段に彼がいてあなたがいて僕がいる
 その下には彼とあなたと僕のご先祖様がいて
 「あ」が「あ」になるように「さ」が「さ」になるように
 首をひねって
 ひねって
 ひねるたびに一人死に
 二人死に
 「ら」が「ら」になる少し前に「ん」を「ん」で終わらす少し前に
 階段のとば口はお墓でいっぱいになりました


自由詩 無題 Copyright 豊島ケイトウ 2010-09-19 17:05:13
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