すこしあるこうか
吉岡ペペロ

おおきな雨のあとだった

朝の坂道を電動自転車であがっていた

坂道のうえの空がいつもより狭く見えた

木々のみどりがせり出していたのだ

夏も終わろうとしているのに

せり出したみどりがまるで新芽のようだった

坂をあがりきると

秋を予感させる横にのびた雲が見えた

空が高く見えた

ただいま9時13分!いつもとおんなじギリギリの時間だ

小学校を通りすぎる

運動会の練習をしている

あのころ・・・・

赤組は白組の応援の、白組は赤組の応援の、

練習させられるのをふしぎに感じていた

いまはその

教育の意味がふっとわかるような気がする

会社のエリアに入った

そこからいちども漕がずに自転車を

しずかな駐輪場にあたしは停めた






自由詩 すこしあるこうか Copyright 吉岡ペペロ 2010-09-18 22:08:01
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