幽霊
天野茂典

 

  カーテンを開けると
  外はどんよりした薄明だ
  ぼくはきょう寝坊をしてしまった
  きのうは午前2時だったのに
  きょうは午前5時だった
  おなじように寝たのは零時半だ
  眠剤がきいたのだろうか
  からだは疲れ切っているが
  精神は高揚しているのだ
  疲れをしらない
  一果のレモンをしぼって飲んだように
  元気なのだ
  こんな日は
  幽霊にであったほうがいい
  朝の幽霊
  鳥の声もきこえないのだから
  エアロスミスだ
  Come Together
  朝からROCK
  目覚めるために
  グループにシンクロする
  きょうは文化祭なのだ
  お祭り騒ぎだ
  吹き飛ばせこんな曇天
  やがて雨
  天気予報ではそういっている
  きょうはステージのイベントだからいいが
  雨はもうこりごりだ
  いつも赤い傘さして
  傘だけ浮いて
  ぼくはみえない幽霊なのだ
  

  きょうもローカル線のバスにのって
  みえないものをみ
  きこえない音をきき
  かげない匂いをかぎ
  さわれない海にふれ
  あじわえない果物のあじをあじわい
  鋭い感覚になって
  幻のキャンパスに
  モダン・アートの線描をドローイング
  してゆく

  幽霊が心太だなんて誰にもいわないで
  じつは詩人の眼力なのだから・・・・
  
   

           2004・10・19


自由詩 幽霊 Copyright 天野茂典 2004-10-19 07:01:52
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