墓標
うずら豆

眩いばかりの夜景
愛を語らう恋人の横で
血を流してる男がいる

腐った内臓から異臭を放ち
神経の切れた手首は紅く染まっている

誰も気にかけない
苦しみは男だけのもの

夏の蝉のような
儚い人生

もはや鳴くことも
飛ぶことも出来ない
ひっくり返ってもがくだけ

恋人たちは去っていき
男は静かに夜景を眺める

この広がる夜景の中で
どれだけの人が幸せで
どれだけの人が不幸なのだろう

万華鏡のような夜景
それは狂った墓標に見えた



自由詩 墓標 Copyright うずら豆 2010-09-06 14:22:16
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