used melody.
Akari Chika

懐かしく
甘い


風が無く
声も無く
静寂に包まれた
街の奥で

ただ
確かに
愛されていた

故郷にも似た
広い心
澄み切ったような
正直さ

喋った言葉も
床に
溶けた

触れる
場所から
戸惑いも
迷いも

消えていく
気がしてた

ただ
量れずにいた
愛の量

悔んでた
もっと
掻き集めて
いれば良かったと

宙に舞う
宙を舞う

慰めの
花も
笑みも

秘密にするほど
嘘はなく
疑うほどの
時もなく

壁を
震わせる
微かな
メロディ

眠るより
ずっと
聴いていたかった

別れを
惜しんだ


別々の
帰り道

ゆらめく
星も
灯も

手にしてた
ぬくもりも

残るほど
余韻はなく
受け容れるほどの
時もなく

ただ
確かに
今思う

離さずにいれば
離れずにいた

素直になれば
全てが
変わる

そういう瞬間が
あったことを

耳を
震わせる
微かな
メロディ

感じるまま
ずっと
聴いていたかった

膨らんだ
期待は
既に
忘れ去られ

飲み込んだ
棘がいつまでも
胸に
痛い

闇が
一体
どれほど
無力か

雲は無く
月も無く
足音だけが
街を起こす

探さずにいれば
探せずにいた

答え

そんな
小さなものと
引き換えに

失った
懐かしく
甘い


体を
引き寄せれば
すぐに
わかる

胸を 震わせる 微かな メロディ...


自由詩 used melody. Copyright Akari Chika 2010-08-28 00:52:39
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