病床の窓辺
モリー

私は寝ころび空を見上げる
病床の窓を通して

流れゆく雲は次第に形を変え
何かに似せては崩れてゆく
また、青は
濃淡で季節を告げ
気がつけば鮮やかになり
気がつけば冷めてゆく

雨が降れば窓を閉め
柔和な光や外界を絶った

今日の空は一段と青かった
漂うものは姿を変えることなく
横目で私を睥睨し、行った

淡く白い部屋の中で
それらを見送ったあと
ため息と同時に私は認識した
私が流されているのだ、と
何処か感触のない所へ這っているのだ、と

そうだ
壁に反響する咳音に聞き飽き
孤独に老いゆく私は
祖父のような手を
まだしていないではないか

電線が揺れ風が吹き込む
きっと気の早い春が二、三匹紛れ込んでいるのだろう
私は息を吸い、少し止め、そしてはいた

私の涙は透き通っていて
病床の窓辺
希望のようなものが心に硬くしこった


自由詩 病床の窓辺 Copyright モリー 2010-08-27 14:27:39
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