Spice Song
Akari Chika
まどろみの中で目を覚ます
スパイスの風 起きぬけのカレー
わたしの心は溶けてゆく
絶え間なく形変える 水のように
行き交う船は涙を乗せて
遠くの海へと消えていく
聞いて 足跡を 音の鼓動を
聴いて 雨粒を 祈りの声を
あなたの為に帰りたい 何故なら
あなたの為に歌いたいから
甘い果実の歌を
茅の屋根から降り注ぐ
無数の木洩れ日に抱かれて
わたしの言葉を沈ませる
夕闇に鳴り響く 鐘のように
翻る蝶の羽根は
人の心を映す鏡
言って その先は 果てがないと
云って 約束を 今果たすと
あなたの為に帰りたい 何故なら
あなたの為に歌いたいから
苦い香草の歌を
砂にまみれた手紙
端の折れたポストカード
油で滲んだ新聞紙
誰かの忘れ物がいつか
誰かの宝物になりますように
微笑みを包んだ キャンドル・ライト
哀しみを癒した アロマ・オイル
ひとりの旅がいつしか
みんなの旅になってゆく
宵に数える星が
ひとつ ふたつ
繋がっていくように
覚えていてね
旅の側にはいつも あなたが居たことを
飲み干したグラスにしたたるのは
光の水と 影の水
南の夢と 西の嘘
あなたの為に帰りたい 何故なら
あなたの為に届けたいから
この身体の温かい源を
あなたの胸へ
声に乗せて