日暮里の女
はだいろ


若いよね〜
とちんちんの固さに感心されたので、
32歳ということにしておいた。
女は、
冷めたビッグマックのような42歳で、
体験入店と客には言えと、
お店に念を押されて来たらしかったが、
嘘をつけないということで、
アハハア、と笑った。

日暮里の駅前はフリーマーケット、
猛暑に日陰もなく。
もしぼくに美人の奥さんがいたならば、
日曜日にニコニコして、
フリーマーケットにも出てみたい。
だけど自転車置き場の影の階段に座り込み、
ストレスでエヅいているだけなのだ。


なにしろ100分1万6千円の激安女だから、
どんなのが来ようと、まあ、文句は言わない。
娘さんと3人で、
フラダンスをやっているらしく、
騎乗位が凄いのよ、ということだったけれど、
ひとまずバックで突きまくった。
最初、
排卵日じゃないから、
生で中で出してもいい、と言われたが、
ぼくはゴムをきちんと着けた。


フラダンスの振りには、
ひとつひとつ、意味があるの。
そういや、
「フラガール」でそんなこと見た気がする。
事務室で、
他の女が自分の悪口を言っていたと、
帰り際に店長に言われて、
きのう、泣いたの。
フラダンスは、ハワイの教え。
どんなひとにも、わるいところも、いいところもある。
いいところを見るの。
みんな受け入れるの。


ぼくは、昔一度だけ言った、
ワイキキビーチのかがやきを思い出した。
ああ、ハワイに行きたいなあ。
旅行に行くとか、
遊びに行くとかじゃないくて。
ほんとうに、行ってしまいたい。
ハワイに、逝ってしまいたい。
だけど、
ゴムくらい持ってなきゃだめだよ、
と大きなお世話でぼくは言った。
みんな受け入れる。
それは素晴らしい。
ぼくもそのとおりだと思う。
でも、ゴムはつけなくちゃいけない。
無防備な危険を、きみの仕事がまき散らしてはならない。
まして、娘さんがいるのなら。
そういう現実を、
ぼくらは生きているんだ。


二回目は、そのハイパー腰使いの、
騎乗位をしてもらったけれど、
あと一歩で、時間切れだった。
ホテルから出るとき、
別の男と別の女が、受付でジュース代を取られていた。
店の前ですぐ別方向に別れたので、
あれも、プロの女なのだろう。
ずいぶんいい女だった。
いくらくらいするのだろうか。

日傘をさしかけれらて、
駅まで歩き、
女と別れた。
すべてのひとを受け入れよう。
そしてゴムを持とう。













自由詩 日暮里の女 Copyright はだいろ 2010-08-22 14:56:05
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