怪談の踊り場
あおば

                         100816

円高不況の炎天下をマルク掃除する者はいないかとニヒルなプラカードを掲げてゆっくりと右旋回するトンビの群れが急降下するたびに頸をすくめる僕たちの懐具合が嗜好する海老フライのかりかりする歯ごたえと音は貯蓄する個体数を数えあげ、つぎつぎに松明を投下してブラックアウトの夜空に火の粉が舞い散ってほんのりと火災と言う名の赤に染まってゆく精進村の素朴な色彩感覚とやけに暑いと公園のベンチでひと休みする磨り減った10円玉を狙い定めて回収する金属嗜好の意志がリサイクルの声となって生命体の周囲に希薄な見えにくいテリトリーを形成して100円ショップへの歩行を促す匍匐前進する無器用な運動体をデジカメに捉え特攻警察に密告する姿勢を保つ不随意な衝撃吸収帯が炎天下の歩道に連続した足音を揃え直立した影を捕縛する愉快な汽笛一声新橋から足柄峠までの歩行訓練に挑む衝撃映像を入手したとテロップをちょこっと眺め炭酸水の泡立つ音に午後の警告と指導に訓告、油断無い海峡を通り過ぎる無水の炭化水素が悠然と弛緩した身体を意識する夕刻になるとてんでんばららと舞い降りる椋鳥の入るべからずの立て札を無視してジョッキングを始める男達は湯気が出るほど暑いのにウインドブレーカーのままで衝撃的な映像を見せつけて円高不況の回折を繰り返し虹色にも見せる西空が悠久の時を示すかのような心地良い不調和が描きだした怪談のような錯覚か幻覚かが判断不能なままに意識となって四辺形に佇んでいる








「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。タイトルは、ちゃむさん。



自由詩 怪談の踊り場 Copyright あおば 2010-08-16 22:59:50
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