「遠ざかる季節に向かって、さよならを言うまえに」
ベンジャミン

夜の匂い

風にのって運ばれてくる秋の気配
近づいてくるものがあるとき
遠ざかるものがあることを
忘れないでいたい

街灯の下に積まれた
夏虫の死骸をよけて歩く

漂う余韻

一つの季節を懸命に生きた
そんな抜け殻を南東の風がさらって行く

遠ざかる夏に向かってさよならを言うまえに
同じ風に吹かれながら
まだこの季節にとどまろうとしている自分を

静かに感じている


自由詩 「遠ざかる季節に向かって、さよならを言うまえに」 Copyright ベンジャミン 2010-08-15 00:42:21
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