イデア流星群 (想起させるものに、忠実に)
乾 加津也

=サブタイトル(おもてとうらからみる物のかたちや色が異なるせかいで)



わ た し は み る



それはわたしの至高をおしひらく ひとしずくのデッサンだから
さわるリンカクをつたい たどるよろこびからはじめる

ことばがほころぶ たびに つくろわれるもの
な、めらかな舵をおおきくふって
血潮にうかぶコリアンダーの朝にむかう

ひとしく いちをむすび
かたさをにぎって(理解をこまぎりにホドク)

いにしえの草木の股下で まきおこるそよぎ(いいえ、ささやき)
こえの産道でできた みずうみ
淡化に痛覚神経系を漉され うまれためだか



な ほ わ た し は み る



こぶしと指の ふるえる収縮にあわれむ(こざかしいこびとが)
つぐないきれないあがないの
芯までおちゆく津波はたえる(絶エル)

弾をかためてノックす、る壁のおとでしか測れない部屋のたたずまいから
そむけても 視る切るきらめく鉛がある
都の人?
されるがまま視姦のされこうべ
たんぽぽでも 漂白できずに暮れおちた

十二時間が経過した
乾く むしょうに
蹴散らし 失踪しながらふりはらう
・・・・・母の呪文
い・と・し・さはよびかけるほどしおらしいって言っていた
比重のオノマトピアは狐であって つままれて
わすかの傾きでおれそうになる(離れていける?/まだ なまえ)



あ す の わ た し を み る



内省のこずえ

ひとつの いきにもみたないしぶきの淵で
しらみがかった舌をくべるオロチ(いきもの)も
ちを吐き、ちを這い、「知」の分別をまえにのたうつから

きがつけば
おのれの寝台をはぐくみよこ、たわり
腹をみせ鉄のあじを夢想して輪、唱する
(腐りのもとを、ひろってたべた、=童謡)



◇ ◇ ◇



それから
ひさしく待つ(ていどではないくらい)
すると
そこはとほい夜なのだろう
いつも視力は弱い
あいまいでも わたしは
まだ知られざる じつざいに
かるく吊るされた流星群をみ、あげていた
(が、そんなふうにひとりはこわい)
では次の幕をひろげよう
ひとつの中性トカゲのような
やはらかなマナザシによりそって
両手で顔をおおうしょうねんでも、いい

うるむとあたたかい
はじめてのなみだ




自由詩 イデア流星群 (想起させるものに、忠実に) Copyright 乾 加津也 2010-08-14 11:37:32
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