猛暑日の逢い引きと躓き
黒乃 桜


最近流行ってんの
黄色と黒のしましまライン

目の横に散りばめられた
にゃあと鳴く彼女の歪んだ妄想

そこまで堕ちたくは無いからと
美しく生きていく事を誓ったけど

何かを諦める時に
痕が残らないよう丁重にするから

段々酷い人間になってく気がするんだ
そうでも無いからって笑い合ってさ

簡単に行かないからと意気込んで
アイスクリームのハズレ棒を咥えたまま

てのひらに残った100円玉を握りしめて
世界中の病気の人達とくだらない勝負心とを天秤に掛けた

綺麗に生きていく為身体に穴を開けて
空きっ腹に勝負心の残骸を流し込んで

やっぱ寄付すりゃ良かったなぁ
ほらまた嫌いなもんになっていくだろ

頭を抱えたりして
それで何が救われるっていうんだ

目の前で小学生がアタリの棒を掲げた
敗北者ですけど何か心が捻れていったけど

アタリの棒を募金箱へ
入れて走ってどっかに消えた

これじゃただのイイ話だ
靴底を剥いで棄てた

最近流行ってんの
音程不調の恋の歌

瞼の中に埋め込んだ
自分に正直に吐いた彼女の嘘

底のない靴を履き直したら
店のガラスに泣きそうな顔の綺麗な奴を見た

横に立ってる女はブスで
メイクが下手でスタイルも悪かった

声が聞こえて振り返るけどそんな女は何処にも居なくて
当たったと笑う美人の厚化粧が

早く猫と嘘を落としてくれと
ゆっくりゆっくり胸を突き刺した




自由詩 猛暑日の逢い引きと躓き Copyright 黒乃 桜 2010-08-12 19:31:51
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