お茶の水橋から
……とある蛙

お茶の水橋から聖橋
まぁるい大きな輪っかが見える。
下半分は揺らめいて
昼間に鎮座する月のよう

にび色の神田川は足がすくむほど
高い地点からしか眺められな

その水面をじっと見つめると
このまま落ちてなるものかと
思いはそのまま橋桁に
宙ぶらりんに吊り下がる。

渡る人皆足早で
吸い込まれないように心して
橋の端をきっと睨んでただ直進
川が足下にあることなどは
忘れたかのよう 渡ってゆく。

昼間の月は鈍い色
夜には水面に揺らぐ月が
ゆらゆらゆらゆら
輝いているが、

橋の上に輝く月は
聖堂のもり杜に
青い光を注ぎながら
場所を観るには暗すぎる。

水面も橋も空の上
ゆらゆらゆらゆら暗すぎる。
見ている自分もゆらゆらと
明日のことなど考えながら。

欄干に肘つき眺めてる。


自由詩 お茶の水橋から Copyright ……とある蛙 2010-08-11 12:17:38
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