睡眠病
梨玖




唐突に重い身体を感じて夢から覚めたと思い知る



薄い霧のかかった感覚を占める温かさ
髪や腕を撫でるもの
きれいなあなたのゆび



反射的に目を開いたけれど
覚悟していたような眩しさは無かった
気付いた時は全てはもう終わっているような錯覚が
厭でも腹立たしくて




其の手に触れても
私は意識を放してしまう
其の手を掴んでも
私は目を閉じてしまう



何時の間にか忍び寄った強制の睡眠に 
そっと咽の奥で嗤う



痛いほどの温もりだけが
腕を支配する
綺麗な眉を寄せた
貴方の表情
私は目を背けるしかない




わたしはねむっているあいだ
あなたになにをみせていたんだろう



そうしてまた襲いかかる睡魔に
勝てない私は貴方の手を繋ぎ止めるのに

眠っている間に見る私の夢には
何時も貴方はいないのに


自由詩 睡眠病 Copyright 梨玖 2010-08-09 21:53:25
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