尿酸値が高いからというわけではない
花形新次
この小さくみすぼらしい結晶がもつ
本当の意味を
おまえは知らない
俺だけが知っている
その輝きの意味を
おまえは知ろうともしない
「キットハゼッタイデハナイノダヨ」
おまえはひんやりとした笑みを
俺に向けて突き刺し
アバヨと手を振った
おまえの行く先は
薄皮のむけた欲望が
他人の欲望を飲み込む場所
おまえは
飲み込んでいる気になって
すっからかんにされているのさ
もう話すことなんかない
遠い昔
ひとの血のなかに流れていた
この結晶のひとかけらだけを
コートの内側に大切に抱え込んで
俺は真冬の海辺へ向かう
赤い快速特急を見つめた
信じられるものは
もうこれしかないのだと呟いて