尿酸値が高いからというわけではない
花形新次

この小さくみすぼらしい結晶がもつ
本当の意味を
おまえは知らない

俺だけが知っている
その輝きの意味を
おまえは知ろうともしない

「キットハゼッタイデハナイノダヨ」
おまえはひんやりとした笑みを
俺に向けて突き刺し
アバヨと手を振った

おまえの行く先は
薄皮のむけた欲望が
他人の欲望を飲み込む場所
おまえは
飲み込んでいる気になって
すっからかんにされているのさ

もう話すことなんかない

遠い昔
ひとの血のなかに流れていた
この結晶のひとかけらだけを
コートの内側に大切に抱え込んで
俺は真冬の海辺へ向かう
赤い快速特急を見つめた
信じられるものは
もうこれしかないのだと呟いて


自由詩 尿酸値が高いからというわけではない Copyright 花形新次 2010-08-01 07:18:58
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