狩る 断末魔
砂木

まっさおにしろいくも
絵に描いた様な夏の朝だ
裏の戸を開けつつ
ひたすら上を見るのだけど だめだ
いつもの場所にいつもの死体
蟻に狩られて頭から胴体の途中まで
ミイラ化した子蛇が
巣穴にも持っていかれず
あまりにも干からびて
他の鳥やら猫やらもその気にならないのか
ゴミのように 晒されている

あの蟻に狩られていた日
まだかすかに動いて抵抗していたのを
見殺しにした
蟻も食べなきゃ死ぬし 
しょうがないと思った
奇麗事じゃないし食物連鎖だし
実は 少しかわいそうだった

食べると思ったから見殺しにしたのに
食べないなんてひどい
なんてね 自分勝手な怒りだ責任転嫁だ
私は何様なんだろうって わけがわからない
蟻だって あの大雨で全滅したかもしれない
子蛇が一匹食われようが ミイラ化しようが
私とはなんの関係もないのだけど

みるともなしにみたものが
きくともなしにきこえて
そのこえのぬしをみてしまうのだ

犬死だね
ごめん 見殺しにして


自由詩 狩る 断末魔 Copyright 砂木 2010-07-22 21:35:46
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