失火
しべ

蛾が舞う
びいどろ焼けた肌
今日は木曜
粘性の雨
水あめ

甘い茎を廻る
二十ニ色の蛾
電信柱の骨
涙浮かぶ川ふたつ
中洲の向こう


ひとさらい


手も足も
舌のように蠢く
痺れた指で
泥をほじっては
焼かれ
咲かれ
落涙は煙

遠くでひとりは
震えながら
名も無く
黒く蛾となって

誰かを嫌っては
脅される


自由詩 失火 Copyright しべ 2010-07-20 22:23:22
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