いつもの酒
……とある蛙

 
お茶の水橋を医科歯科大学の方向に渡る と
すぐ聖橋の下を潜って秋葉に抜ける道へと右折する。
途中、神田明神から降りてくる坂の方向に左折し、
秋葉の方向へ右折する 
と いつもの明神下の路地が現れる。

明神下の路地を明神通りから入ってすぐ右手になじみの居酒屋Tがある。カウンターに腰掛け、「今日はムしているから 生 ちょうどぁい」と第一声
カウンター越しに「あいよ」と威勢のいい亭主の返事。

冷やされて霜がかかったジョッキに注がれたキンキンに冷えた生ビール、
突き出しは小鉢で、芋の煮たのとマグロのブツ 
これだけで腹が膨れちまう。
芋の煮たのをつっ突きながら注文するつまみを思案する。

焼きはま だぁ。
旬など知らんが
 焼きはま だぁ

頼んでいる間に自家製の辣韮(らっきょう)漬をぼりぼり

もう酒を飲んでいる。

このくそ暑いのに賀茂鶴の熱燗
先代の亭主の遺言だから しょうがねぇ。
ざまぁみやがれ。この湿気 この季節
でもくそ暑

焼きはま を頬ばると
 口一杯の蛤の旨みと海の香りが鼻に抜ける。
ぐい呑みで賀茂鶴の熱燗を喉に流し込む。

あっと言う間に一合は呑みきり 
もう一合
やみくもに熱くなる体を持て余し
頭脳が少しいいヘブンだ。

もういい頃だと
氷に芋焼酎の黒佐藤を注ぎ
辣韮をつまみに
ぐいっと一杯
気持ちはますます図にのって

鮭ハラスを焼いてもらい
ロックの黒佐藤を
ぐいっと もう一杯

そろそろ歌も歌いたくなり、
路地を挟んだ地下のピアノバーへ
今日もまた一本道の定期便(笑)

地下の階段に気をつけて

呑む酒きっぱりハイボール
さぁ何曲歌おうか。
笑い ww 笑



散文(批評随筆小説等) いつもの酒 Copyright ……とある蛙 2010-07-13 12:23:48
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。