ぼくの暴力
オイタル

ぼくは
暴力をふるってみよう と思う
だれにも許可を
求めないで
机の脚を
蹴ってみる
いい?
なんて聞かないで

のどのバイパスを
汗が下っていく
ときおり雲が
道を外れて光る

ぼくの暴力は
かなりのところまで
届くはずだ
まだ
陽が高いので

だが
日暮れになると
無理だ 暴力は
前足を立てて 猫が
切り抜きのようにこちらを
見ている そこに
石を投げる
暴力 として
さっきから少し
窓を伝う雨粒のためらいが
ぼくに降る
彼女は もう
帰っていく
今日もまた
飲んでしまった忍耐の 後悔の
薄いこと として

机の脚を 前足を
蹴ってみる
見慣れない 暴力として


自由詩 ぼくの暴力 Copyright オイタル 2010-07-10 21:30:17
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