love songs
小原あき




春を見て
鳥はなんて思うだろう

月を見て
蛙はなんて思うだろう

虹を見て
花はなんて思うだろう

雪を見て
雲はなんて思うだろう

空を見て
木はなんて思うだろう

川を見て
星はなんて思うだろう

光を見て
魚はなんて思うだろう

教えたくても
教えられない

知りたくても
知り得ない

僕を見て
君はなんて思うだろう





言葉よりも先に動き始めた私たち
言葉で表せないことがあっても
それが真実じゃないなんて
誰にも言えない

たとえば
触れた体温の
解け合う愛しさ、とか





夕方の雲みたいな花を
君にプレゼントしたかった

夕方の雲は
裏っかわが照らされて
雲が驚いて
頬を染めたみたいな色

見つからないから
あじさいをあげる
空色を映して
少し頬を染めてるから
そんな色、してるから





わたしの足には
きみの手が絡み付いてる
それが根っこみたいに
この世にはりついてる

だから生きてる
だから、わたし
生きてる

わたしの上に
きみの足があって
わたしの手が絡み付いてる

だから生きてる
だから、きみ
生きてる

その根っこみたいなつながり
無くなったら
ふわっといく感じ

でも、わたし飛べない
だって、わたしには
羽が無い

わたしには
手と足しかない
根っこも無い
羽も無い
わたしには
手と足しかない

だから
きみのこと
きゅって抱き締めたい

きみのところに行って
きゅって
抱き締めたい

唯一の
手と足を使って





雨の音かと思ったら
木の葉っぱが擦れあった音

君と囁きあった後
そんな音が
ラブソングに聞こえた









自由詩 love songs Copyright 小原あき 2010-07-09 15:29:02
notebook Home 戻る