love songs
小原あき
1
春を見て
鳥はなんて思うだろう
月を見て
蛙はなんて思うだろう
虹を見て
花はなんて思うだろう
雪を見て
雲はなんて思うだろう
空を見て
木はなんて思うだろう
川を見て
星はなんて思うだろう
光を見て
魚はなんて思うだろう
教えたくても
教えられない
知りたくても
知り得ない
僕を見て
君はなんて思うだろう
2
言葉よりも先に動き始めた私たち
言葉で表せないことがあっても
それが真実じゃないなんて
誰にも言えない
たとえば
触れた体温の
解け合う愛しさ、とか
3
夕方の雲みたいな花を
君にプレゼントしたかった
夕方の雲は
裏っかわが照らされて
雲が驚いて
頬を染めたみたいな色
見つからないから
あじさいをあげる
空色を映して
少し頬を染めてるから
そんな色、してるから
4
わたしの足には
きみの手が絡み付いてる
それが根っこみたいに
この世にはりついてる
だから生きてる
だから、わたし
生きてる
わたしの上に
きみの足があって
わたしの手が絡み付いてる
だから生きてる
だから、きみ
生きてる
その根っこみたいなつながり
無くなったら
ふわっといく感じ
でも、わたし飛べない
だって、わたしには
羽が無い
わたしには
手と足しかない
根っこも無い
羽も無い
わたしには
手と足しかない
だから
きみのこと
きゅって抱き締めたい
きみのところに行って
きゅって
抱き締めたい
唯一の
手と足を使って
5
雨の音かと思ったら
木の葉っぱが擦れあった音
君と囁きあった後
そんな音が
ラブソングに聞こえた