七月の朝に降りてゆく
within
たとえ私がいなくなっても
いつもと変わらぬ朝が来て
食卓を囲むことでしょう
悲しみは寝ぼけ眼の向こうに置いて
それぞれの宿題を鞄のなかに押し込め
忙しく顔を洗うのです
十一次元もあるという世界の
私はどこへいくのでしょう
0次元?
0とは一体どのようなものでしょう
吐き気も苦痛もなく
日々の献立に悩まされることもなく
私は夕焼けに帰ってゆく
瑣末なことで腹を立てる私も
白骨になっては怒ることもできません
泣くこともできません
寂しい夜もないでしょう
声にならない言葉たちは
誰かに読まれることはあるのでしょうか
よせてはかえる波の砂紋に
言葉たちは かたどられてゆきます
でも
0は人間が作り出したもの
0もまた在るのです
0と無は双子のようで
よく間違えてしまいますが
彼らの心は
それぞれの道を歩いていることでしょう
七月の朝が満ちてゆきます