蒸散してゆく六月の月食
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連れ去られてゆく私の腕は
細かく打ち震え
振動し
ひとところに落ち着かない
手を引っ張るのは誰?
月が欠けてゆくにつれ
私の不確かさが増してゆく
共鳴していたものが
隠されてしまったから
もう私はうずくまる
夜が全くの闇になるとき
光るのはこの惑星だけ
太陽もシリウスも
皆、閉じてしまう
地球だけが惑い
落ち着かない
行きたくなければ
行かなくていい
帰りたくなければ
帰らなくていい
私の車輪が
ぬかるみで
空転する
雨の降る日に
傘も差さずに外へ出て
体中のトンネルから
熱を抜いてゆく
私をゆっくりと
冷ましてゆく


自由詩 蒸散してゆく六月の月食 Copyright within 2010-07-05 07:28:33
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