支える
寒雪



真夜中目が覚めると
隣にいるあなたがいない
どうしたのかしら
そう思って階段を下りていくと
リビングから弱々しい明かり
覗いてみると
テーブルの上に水割り
そして
暗い表情のあなた
また今日も眠れないのですね
うつむいたまま
あなたは重苦しいため息を吐く
声をかけると
振り絞ったような笑顔で
大丈夫だと言葉を返す
私はそれ以上なにも言えなくて
おやすみなさいとだけ呟いて
リビングを後にした


辛いのでしょうね
あなたを取り巻く色々なものは
支えてあげたい
そう思うのは当然だし
家族なんだから当たり前
でも
寄り掛かられるのを待っていながら
私は
あなたが自分の足で
しっかりと地面を踏みしめる日が
再びやってくるのを待ってもいる
倒れた子供を
ただ抱き起こしてやるのではなく
自分で起き上がれるよう
そっと自然にサポートしてあげる
私にはわかってる
あなたは二本足で立てる人間


ただ
本当にダメな時は言ってほしい
その時は私があなたの足になるから
一人で
歩けなくなった足で
どこかにいったりしないでね
それだけが今の心配事だから


部屋のカーテンを開けると
ネオンで見えにくくなった星が
ちらほら見える
流れ星が流れていくさまを思い起こして
私は祈りの言葉を繰り返し
心の中で語り続ける


自由詩 支える Copyright 寒雪 2010-07-04 09:48:15
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