Independence Day
黒田康之
僕たちは独立している
確かに個人であって
どんなに近くで寝起きをしても
同じ窓からの朝日を浴びても
僕は僕で
君は君のままだ
僕たちは独立している
二人で生きて
どんなに子どもの寝顔であっても
まだ父でも母でもなくても
僕たちは僕たちで
二人のままだ
場面によっては誰かの子どもで
こんな会社のこんな仕事をしている人で
こんな社会のこんな場面に生きている人で
僕たちが僕たちであるためには
僕たちは常に依存しあっている
僕たちと同じ日に出来た大きな国も
決して一人では存在し得ない
でも僕たちは独立している
こうして鮮やかに
二人なのだ
はっきりと僕と君がいて
僕は僕で
君は君で
こうして七月四日の朝日を浴びて
眠そうな目でお互いを見ている
君の心に映る僕が
まるで本当の僕のよりもリアルで
僕の心に映る君が
目の前の本当の君であることを
百年
千年の現実の礎として
大きく深呼吸をして
二人の胸に深く深く吸い込んでみる
ああ確かにこれが君でこれが僕で
これが僕らなのだ
君と食べる朝食の
瑞々しいレタスの青に
滴るトマトの赤に
山から街へ流れる雲の
そのふくらみのすべてに
僕がいて
君がいて
僕たちは今独立している
すべての時間は今から始まる