アルチンボルド法
六崎杏介

表面訳(同音訳)の応用1

マニエリスム絵画の巨匠アルチンボルドは、果物や魚、その他、定められたカテゴリに入る素材を画面上に巧妙に配置する事によって一枚の絵(肖像画が有名)を描いていた。彼に因んで名付けてみた遊戯法。

表面訳とは他国言語からまったく同音の、別の意味を持った自国語を取り出す手法である。言語遊戯に共通する、作者さえも目眩に誘う言葉達の曲芸はもちろん、音韻遊戯である表面訳では言葉が多声化し、異-調和といった具合のキラキラがある。

拙作「MechanicalMadrigal」を例にこの遊戯法の効果を説明したいと思う。やり方自体はとても簡単。定めたカテゴリ内の他国言語の名詞を思い付くまま書きだし、次に日本語に読みかえる(表面訳)。最後にそれを詩になるよう丁寧に並べていく。拙作では「人工的な物」をカテゴリとして設定した。vinyl-美に入る、gear-戯夜、、、、、、、。alminumが或る実に熟む、となった時、私はキリスト教聖書の失楽園の情景を描く事を思い付いき、試みた。するとこの詩の中のアダムとイブカップル(gray-倶霊)は自らの創造主(factory-浮飽く鳥)を射殺そうとしてしまった。驚いた。

この様にこの遊戯は、手軽に遊べて、一寸した目眩も誘う楽しい詩作時間を提供してくれる可能性があるかも知れない。哲学書のタイトル、メイク用品、カードゲームetc、思いつくまま訳してみては如何でしょう?「詩人としてアルチンボルドにオマージュを、喝采!」


散文(批評随筆小説等) アルチンボルド法 Copyright 六崎杏介 2004-10-11 16:38:01
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