北の部屋
森の猫

磁力のせいか
しずけさか
ひんやり感か

北の部屋は
よく眠れる

かつて あたしは
豪邸の一人娘であった

過去世の夢を見る

父と母の部屋に
入ったことを
とがめられ

あたしは侍女を
連れて
想いをよせる人の
ところへ
走る

夕方の河原を

走りつかれて
ひんやりとした
草原の上で寝てしまう

そこへ
屋敷からの追っ手が

しずかに
しずかに

あたしの下に
枕をあてがい
毛布をかける

そこで
目が覚めた

あたしの過去世?

裕福?
放蕩娘?

わがままで
変わっているのには
ちがいない

”変わっている 君がすきだよ”
まどろむ あたしに
遠くで つぶやく声

あたしは
とても しあわせな気分になった

北の部屋


自由詩 北の部屋 Copyright 森の猫 2010-06-26 22:59:27
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