狂った朝食
天野茂典



私たちの胎のいたみ(をいたみ
喪が藻を(藻が喪を(語る白眉から
踊る女が生じ離れてゆく*
海亀の(産卵(散乱
胎のいたみ(をいたみ
はげしく狂った(女のマスカラ
眉も(引かずに(波の音だけ(が
私たちの(朝食
(に(なった
離れて(いった(女の(来歴
足跡(だけ
(が
夜明け(を(待っている
銃弾(の飛距離を(測る
(測る
私たちの喪(藻が藻を(語る白眉から
失踪(してゆく(海産物問屋
宇宙(の(引き潮で
海亀の距離は(遠
(退いた(涙が
毀れて(毀れて
私たちの胎のいたみ(をいたみ
踊る女は喪にからめられ(浮き上がり
踊る女は藻にからめられ(低みへと
スペクタクルは流れた*
狂乱する(海亀の産卵
白夜では風のいたみが棘になる
新しきものの(誕生
ひとつの喪が(藻のなかを
踊る女が生じ離れてゆく





         *野村喜和夫『スペクタクル』より

         2004・10・11


自由詩 狂った朝食 Copyright 天野茂典 2004-10-11 05:55:17
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