君が今まで読んだ全ての本を思い出してごらんなさい。それが君という人間を表している
はらだよしひろ

先日、ふとしたきっかけで、在日朝鮮人一世の詩人であられる金時鐘先生のことを思い出す。昨年七月初めにお酒を一緒にする機会があって、その時のことを思い出したのだ。

 あの時先生に言われた言葉で強烈に印象に残っている言葉がある。
 「君が今まで読んだ全ての本を思い出してごらんなさい。それが君という人間を表している。」

 今でもこの言葉を思い出すたびにドキッとする。何か自分という人間の狭さを見透かされたようで。
 改めて、自分の部屋にある本をチェックしてみる。結構在日関係の本が多い。詩集もいくらかある。小説は……少ないなあ。あと、フロイト・アダムスミス・ホップス・マキャべリ等があって、国際法関連の書籍と佐藤幸二先生の「憲法」、マクロ経済とミクロ経済の本、「先物市場のテクニカル分析」なる投資関係の本もあるし、外交史の本もある。「ゴールド」というタイトルの分厚い本、これは金(ゴールド)と人間の文明のかかわりを著した本だ。将棋の本も数冊ある。実は暇つぶしに詰将棋を解いたりするのが好き。
 登山関係の本もちらほらで、深田久弥の「日本百名山」も手元にある。
 それと、クラシック音楽関係は凄い。ベートーベン作曲「交響曲第5番」 ベルリオーズ「幻想交響曲」 伊福部昭「交響たん詩」(たん は漢字が難しくて変換できん) ストラビンスキー「火の鳥」「春の祭典」 カールオルフ「カルミナブラーナ」 吉松隆「交響曲第2番 地球にて」 などの楽譜があって(他にもいろいろあるがそんなことしたら時間が足りん)、音楽専門書では、伊福部昭の「管弦楽法」がある。この「管弦楽法」って本は上・下巻があって、定価で買うと21000円ぐらい掛かる本。あと、和声学の専門書。その他の音楽関係の本では「黒沢明 音と映像」という黒澤映画の音楽に言及した本もあって、最近復刊したんだが伊福部昭の「音楽入門」もある。
 面白いところでは土井健郎という人の書いた「『甘え』の構造」。「甘え」という感情を表す語が日本語にしかないところに着目して、日本人の精神的構造を明らかにした凄い本。
 もう一つ、歴史関係の本も多い。中心になっているのが歴史群像シリーズ。古事記やら日露戦争やらチンギスハーンやら戦国期の城やら全部で20冊。これ以外にも歴史の本が多々。ただ、西洋史のものが無い。

 うーん、ジャンルは結構いろいろあるけどなあ、偏っている感じもしないではない。学術系の本が多いぞ。柔らかい本が無い。何を持ってやわらかいとするかわかんないけど、マンガは無いね。昔シティーハンターとか持っていたんだけどさ、捨てちゃったし。

 要するに僕は固いのかな、ユーモアの力が人と較べて劣っていると自分では思っている。比較的お堅い本を読んできたから、冗談の能力が育まれなかったというか。そうやって考えるとは当たってるよな。さすが時鐘先生だ。
 でも僕がマンガを読んでこなかったわけでは無い。最近ですよ。マンガを読まなくなったのは。だって活字の方が圧倒的に面白いもの。
 
 みなさん、一度自分が読んできた本を思い返してみてはどうでしょう?


散文(批評随筆小説等) 君が今まで読んだ全ての本を思い出してごらんなさい。それが君という人間を表している Copyright はらだよしひろ 2004-10-10 23:56:35
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